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Cold Sweat

2016.03.30.Wed.01:36

れられるはずなど毛頭ないのだが、それでもMさんは男の方に身を寄せて視線から逃れようとした。レジの店員からはずっと見つめられているし、さっきの小太りの男はチラチラと時々顔を出す。他の客も何人か居て、やはりMさんの方を見て視線を反らすが、好奇心のまなざしは次第に濃厚になっていた。棚の向こうからも、ひっそりと覗かれているのではないか、という疑心暗鬼だけでMさんは混乱を極めた。

ローターの方が好きだったかな、と男はMさんの腰を抱きながら棚を移動した。数歩横へずれただけだが、より好奇の目が注がれたような錯覚にMさんは襲われて身を固くした。グッズなど選ぶ心境ではなかったが、選ばなければここら逃れられないのではないか、と云う強迫観念に駆られ始めた。だが、そんな心持ちで何かを選ぶことは、かなりの困難をMさんに強いた。

それでも慌ててMさんは棚に目を走らせる。それを男はめざとく認めて、これ最新式だよ、と一つの小箱を指さす。その一方で腰に回していた手が脇の方までずり上がってきた。Mさんの腕を持ち上げるような格好で伸びてきた手はそのままMさんの胸元へと回り込んだ。探るように指先が、開いた胸の谷間の肌に触れる。初めて直接肌に触れたその手は、自棄に冷たくMさんは鳥肌を立てた。

その指は、そこで留まらずやや下方にずれるとコートのボタンに触れた。その途端、ボタンはするりと外された。内側の起毛が肌から離れる感触がして、思わずMさんはその手を掴んだ。ボタンを外す手を掴もうとしたけれど、結局腕を掴むような格好になる。もうすでに遅く、コートのボタンはあっという間に下の方まで外されてしまったのだった。店内は暖房が効いているはずなのに、冷たい風が吹き込んできたような感触をMさんは覚えた。




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