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光のコンパス

2015.08.11.Tue.21:59

外な繋がりだなぁ、とWは感嘆の声を挙げたが、Mさんがそのいきさつや、賞の後の報告の話を聞くと、一応納得はしたらしい。それよりも、先輩を介して、という当時の状況を思い起こして、その顔の広さに脱帽した方が感慨は深かったようだ。おそらく、最も近くにいたはずのMさんでさえ、完全に彼の交友関係を把握していたわけでは無いと思えた。

自然と話は先輩の思い出話に移った。ただ、Wはあの先輩とは面識がなく、そういう意味では、奇妙な同席人だった。Sが話題のいちいちに、軽く説明を加えるがどうも今ひとつピンと来ないようだった。それを見ていたMさんは、それ以上にずっと続いている違和感に決着が付かなかった。W達の交友関係と、先輩を中心に広がる淫靡なサークルが、目の前で交わっているが、どうもそこに馴染めないのだ。

そうしている内に、クルマはやっと大学の正門前に着いた。守衛が近づいてくると、Wが顔を覗かせて入館証を見せた。もう顔見知りになっているのか、ご苦労様です、と守衛の方が笑顔を見せてクルマを通してくれた。吊られて後部座席のMさんも同じように会釈を返す。クルマはまっすぐにプールサイドまで赴いた。グラウンドに沿うように道が通っていて、一番奥がプールだった。

野球部が使っているグラウンドがありその脇に駐車場があった。そこにWは車を滑り込ませた。すぐ目の前にはプールがあるのだが、高いコンクリートがそそり立っていて水面は見えなかった。その手前に細長い建物があってそれが部室だった。クルマから外に出た四人は、それぞれ辺りを見回して懐かしさを滲ませた。W以外、卒業して以来初めて訪れる母校の景色だった。駐車場に、四人以外の人影は全くなかった。





久本真菜 森田恵子 北村実穂








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