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無想志願

2015.08.09.Sun.15:02

味の延長とはいえ、金にものをいわせて最高級の機材を駆使していたその男だったが、やはりお互い若い男女だから、当然のように距離が曖昧になるのは仕方がなかった。男自体、ヌードモデルを買って出たMさんを貴重に思っていたし、写真が撮れることに舞い上がっていた。何度かMさんをモデルに呼び、いつしか、写真を撮った後で口説かれ、そして身体を重ねる間柄になった。そのうちに、写真を撮りながらセックスをするようになっていた。

大学を出てからは関係は切れていたが、一度だけその写真のコンテストで賞を取ったすぐ後ぐらいに、Mさんに報告に来たことがあった。その時にはもう仲介した先輩は亡くなっていたのだが、Dさんになんとか繋がりMさんに辿り着いたらしい。Mさん自身は、まだ記憶には留めていたが、再会をしたいと願うほどではなかった。お互いがそうだと思っていたので、連絡が来た時には多少驚いたのだった。

お世辞なのかどうなのか、今ではMさんも判然とはしないけれど、賞を取ったのはMさんがモデルになってくれたおかげだよ、と男は云ったのだった。コンテストで賞を取った写真は、ヌードとはまるで無縁なものだが、被写体との距離感とか、心情に手を届かせるとか、そういう風な言葉を並べて男は熱っぽく語った。そういわれて悪い気はしないが、あの時の写真の所在を訊ねると、結婚を機に大半を処分してしまったらしい。

だが、何枚かだけはどうしても捨てられない僕の宝物だから、と大事に仕舞っているらしい。それがどんな写真かは今ではMさんもわからないが、Mさんには嬉しい一言だった。ただ、当時は、それ程純な感じもせず、お互いセックスは欲望そのものだった記憶しかなく、そのギャップも何か、不思議な経年変化に思えて苦笑するのだった。果たしてあの頃の撮影が、芸術に繋がるかどうかは眉唾物だ、とMさんは思っていた。





久本真菜 森田恵子 北村実穂








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