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蟻の群れ

2015.08.07.Fri.12:23

憩室でMさんと交わった相手の男は、当時Wには面識がなかった。というより、その時はMさんの顔や身体にばかり気を取られてほとんど男の顔を見ていなかったのだ。まだ初心な青年のことだから仕方が無いとはいえ、あまりにも強烈な印象を残した割には、何処か不完全な記憶になっていた。しかも、覗きを果たした一件以来その男の顔を見ることもなかった。だからWの記憶の中ではほとんどMさんの裸体で占められていたのだ。

だが、大学を卒業してかなり時間が経ってから、地元のテレビの情報番組をぼんやりと見ていて、ふと思い当たる顔に出くわした。その時、その顔が誰であるか、皆目見当が付かなかったのだが、確かにどこかで見た顔だったし、強烈な印象を伴っていることもぼんやりと覚えているのだ。その時は誰だろう、と云う疑問だけをサラリと流したが、妙にその疑問は頭にこびりついてWの中に存在し続けた。

それが、あの休憩室のMさんの相手だと気づいたのは、それからしばらくしてからだった。だが、確証はなく、似ている、という範疇からなかなか抜け出せなかった。ほぼ確信に近く、Wは思っていたが最後のパズルが欠けている。それを確かめたいんですが、とWは切り出した。あの時の相手って、医学部で写真部だったあの人ですよね、とその男の名前を出した。

後ろを振り向いたWは、TMさんのスカートの中に手を入れていることに多少目を丸くしたが、気を取り直してその名前を質した。Mさんが少しはにかみながら頷くと同時に、運転席のSが重なるように声を出した。もしかしてあいつ?と声を出したSの方が、驚きは深刻に見えた。SWに重ねるようにフルネームでMさんに問うた。今度ははっきりとそうよ、と口に出してMさんは応えたのだった。





久本真菜 森田恵子 北村実穂





スタービーチ援交ファイル



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