FC2ブログ

追悼

2015.08.06.Thu.12:42

学への道のりはさほどの距離ではなかったが、連休の最後ということもあって道は混んでいた。昼間近くの街は結構気温を上げていて、一人増えた車内はエアコンが効いていても、何処か暑さが蟠っている気がした。町中に入ると道幅も狭くなり、なかなか前に進まなかった。助手席にWが座って、Sがハンドルを握っているが、勝手知った道にほとんどナビはいらず、思い出話を交わしていた。

後部座席に座ったMさんの隣にはTが座ったが、彼の手はクルマが動き出すのと同時ぐらいにMさんのスカートの中に伸びてきた。昨日の続きか、これから起こることの前哨戦か、とにかく待ちきれなかったかのように、その手はまっすぐにMさんを蹂躙し始めていた。Mさんもされるがままになっていた。理由は自分でも計りかねたが、おそらくは未だ釈然と今の状況を飲み込めない、混迷が許しているのだろうと思っていた。

それを前の席の二人がわかっているかどうかはわからないが、会話はいずれもが普通に交わしていた。その主導権は今もこの町に居を構えるWが中心で、久しぶりに訪れる他の三人が、会話に会わせて外を見るという、まさに観光然とした趣だった。Mさんも一緒に窓外に視線を送るが、スカートの中にはTの手が差し入れたままだ。まだ肝心な部分には触れようとせず、ただショーツの感触をなぞる程度で留まっていた。

それが渋滞に嵌ると、景色の変化も乏しくなり、思い出話も途切れがちになった。苛ついているわけではなかったが、つい口のようなものも口を突いて出てしまう。それが自然と会話に隙間を空けてしまうのだ。お互いかつてこの町に住んでいたとはいえ、大学の中では距離を置いていて、共通の思い出というものがそれ程多くなかったのもある。そんな中で、ふと、Wが思い出したように、さっきの話の続きをしゃべり始めた。





久本真菜 森田恵子 北村実穂







スポンサーサイト
[PR]

コメント

管理者にだけ表示を許可する