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ボーダーライン

2015.07.17.Fri.03:45

泳部の部室は大学の敷地の西の端にあり、当たり前だがプールに隣接していた。構内でも僻地と揶揄されるような所にあったので、自ずと水泳部員以外の人影を見る機会が少なかった。周囲は大学との敷地の境を強調するように木立が立て込んでいて、外からの視線からも隔絶されていた。それを良いことに、Mさんは度々そこを秘密の場所に宛っていたのだ。

彼女が秘密にしたくなることは、ほとんどがセックスに関することばかりで、結局、人気のない時間を見計らってそこで逢い引きすることがよくあったのだ。同棲したタケシとセックスのマンネリを打破する意味で、深夜に忍び込んで屋外セックスを愉しんだり、そういう場所に水泳部の部室は使われていたのだ。もっとも、Mさん達だけが使っていたわけではなく、先客がいて退散したこともある。

コンクリート壁の素っ気ない作りの建物に、更衣室や用具倉庫を無理矢理詰め込んだような部室は、特に水泳部だからというわけではなく、どこも同じようなものだった。まだ独立して水泳部専用の建屋になっているだけ、他よりはマシだった。ただ、男女合同の機会が多く、そのためのミーティングスペースは広く取られていた。そこに隣接する格好で、休憩室と呼ばれる部屋があった。

三畳ぐらいの畳敷きの部屋で、元々は用具倉庫の一部だったが、間仕切りをして特別にあつらえたモノだった。それがなんのためにもうけられたのかは、Mさんが在学中にももう昔のことで誰にもわからなかった。だが、部室で唯一横になれるスペースだったので、便利に使われてはいたのだった。そのためのスペースは律儀に確保され続け、伝統的に受け継がれてきたのだった。





石田桜子 バロン辻村 大友美里








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