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告白の旅

2015.07.16.Thu.03:45

り返ってみれば、それが同棲していたタケシの耳にまで及ばなかったのは、幸運だったかも知れない。きわどい事件も少なからずあったわけで、完璧に隠し通せていたと思うのは、ただの妄信だったかも知れないのだ。逆にタケシの浮気を責めたこともあって、平気で自分を棚に上げる事も、若さ故だったのかもしれない。そういう部分を、パートナーである先輩の影で彼に任せきりにしていたことも、ある意味なんの根拠もなかったのだ。

ただ、Wが続けた言葉が、彼の思いの深さをMさんにさらに印象づけた。デートを邪魔されたことだけじゃないんですよ、と真顔でWは云った後、急に照れたように顔をうつむけた。その仕草が、内容によるのか、あるいは別の理由か、Mさんにはすぐには分からなかった。彼の代わりに、Tが言葉を受け継いだ。TWは、大学時代からずっと親友同士で、お互いに故郷には帰らず大学のあるこの街で住み続けていた。

こいつ、Mさんの決定的な場面を目撃しちゃったんですよ、とTは云ってから、ニヤリと笑った。童顔で純朴そうに見えるWとは対照的に、年相応に慣れた所のあるTのその表情は、どこか狡猾そうでMさんには余り良い印象はなかった。昨夜彼に組み敷かれた場面が甦ったが、あまり良く覚えていない。肉の感触だけが唯一、快感として残っているだけだった。

俺も最近知ったんだけど、とTが云うと、傍らのSくんも頷いた。十年近く経ってからの告白だったんだよな、とWに向かって云うと、彼は一層照れたように頷いてみせた。そして促されるように顔を上げて、水泳部の部室、覚えていますか?Mさんに訊ねたのだった。懐かしさの詰まったもうひとつの場所が出てきて、Mさんはまた複雑な表情で頷いたのだった。





石田桜子 バロン辻村 大友美里







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