The One to Break
カメラの方へ後ろ向きに駐められたクルマのテールゲートが開けられ、後部座席とラゲッジスペースが見えていた。その向こうに二つの頭が揺れていて、おそらくそれがOとMさんであることは間違いなかった。シートの背もたれに隠れているのと、明るさの違いではっきりと詳細は見えない。そのうち、Oが後部座席を内側から倒して、一段高いフラットな空間を作った。
そこへクルマを回り込むように降りてきたMさんが画面の端から現れた。Oはフラットになったシートを乗り越えるようにしてラゲッジスペースへと降りてきた。おそらくカメラを構えているのは相変わらずKなのだろう。写り込んだOとMさんは、気まずそうに苦笑を浮かべたまま、顔を合わせた。だが、恥ずかしさと言うよりは、淫靡な表情がいくらか張り付いている。
OがMさんを促してフラットスペースの前へと立たせた。Mさんは練習場の時と同じ、ポロシャツにミニスカート姿で、恥ずかしそうに笑みを浮かべたままだ。その姿をKは上から下までじっくりとカメラにとらえた。相変わらず舐めるようなカメラワークは、彼の視線そのままに下卑た欲望をなぞっているように思えた。カメラが一度足下まで下がると、そこには雑草が生い茂っているのが見えてた。
そこからまた上半身に上がると、いつの間にかOが近づき、唇を重ねていた。激しく互いの舌をむさぼっているのか、もうMさんは目を閉じて陶酔の表情を浮かべていた。じっくりと互いの唾液をすすりあった後、再びOに促されてMさんはカメラの方を向いた。その目はもう、淫靡な光を宿していた。

