Second Guessing
前日の土曜日からOの元には妻が子供を連れて訪れていた。その前の数日、一時的にOは自分の部屋に通って、その場所に留まり続けていることを演出しなければならなかった。当然、Mさんは孤独を強いられる結果になったのだが、ちょうど良い息抜きの時間と割り切っていた。時期的に、そろそろDさんがアナルセックスを見せつけられて本気で、Mさんに嫉妬を覚える頃で、そちらの方へ意識も移っていた頃だった。
それでも、日常そこにあるはずのものがない寂しさは、漠然とではあっても存在していて、中途半端に孤独を感じながらMさんは週末を過ごしていたのだ。それを紛らわすために日曜出勤を設定したのだけれど、そこに届いたのが予期せぬOからのメールだった。子供達を連れてくる、という予定も突然に決まったことだったが、そういう意味ではスケジュールというものがすっかり、行き当たりばったりになってしまっていたのだ。
Oのメールは、彼の職場から送られてきていた。暫くお互いに距離が出来ることを予感したような、濃厚なセックスを繰り広げたあのオフィスに、その時間Oが居るのは不自然だった。折り返しMさんがコールすると、最初は不満げな口調でその顛末を語った。簡単に言えば、仕事上のトラブルを上司に押しつけられた、ということなのだが、直接の担当であるOは断り切れなかったらしい。
ゴルフのコンペの途中で抜けられない、という上司に辟易しながらも、子供達が会いに来ているというのは言い訳にならなかった。何とか昼食まで引っ張って、妻達が帰宅する車で事務所まで送ってもらった、ということを、Oはまくし立てた。結局、トラブルはそう深刻なものでもなく、事務所から電話連絡して、ネットを介した操作で事なきを得たのだが、やはり中途半端に不満だけが残り、その愚痴をMさんに聞いてもらおう、という魂胆だった。

