When New Got a Good Friend
画像はいくつかのスレッドに渡っていて、結構な数のゆりなの痴態がそこで披露されていた。しかも、何も隠す物のない、いわゆる無修正の姿だ。それは海外の掲示板とはいえ、インターネット上にアップされてオープンに解放されている。いわば全世界に向けて、ゆりなはその裸身と淫猥な行為を晒しているのだった。しかも、秘部を隠すことなく、目線すら入っていないのだ。
Mさんは当然のように、大丈夫なの?と半ば問い質すように効いた。大丈夫ですよ、とゆりなはあっけらかんと応えた。彼女はそういう部分には実にあけすけで大胆に振る舞っていた。それに驚かされることが今までも度々あったのだが、最後にまた、随分と大きな爆弾を抱えていたものだ、とMさんは思った。その大胆さに引っ張られて、Mさんは随分と足を踏み外した気になっていたが、退屈することはなかった。それがゆりなの良いところだと、Mさんは理解していた。
化粧をちょっと濃いめにしたり、ウイッグとか、眼鏡をかけてみたりとか、そうすると印象が随分変わって、直ぐには分からないものですよ、とゆりなは説明した。でも、とMさんは反論する。ゆりながクリックして見せた途端に、それがゆりなだとMさんは直ぐに分かった。そのことをいうと、それはMさんだからですよ、と彼女は笑う。街を歩いていて、コレと今目の前を歩いている私と、重ならなければ大丈夫なんですよ、とゆりなは事も無げにいって見せた。
それで納得したわけではなかったが、あくまでもそれはゆりなの責任である。Mさんが踏み込んでいい範囲かどうかは微妙だ。画像を撮られて興奮するのはMさんも共感できる。それを衆人に晒したいという欲求は、ないといえば嘘になる。ただ、そのリスクの大きさを考えると踏み込めないだけで、信頼がないところでは尻込みしてしまうのだ。結局、その信頼を常に起き続けたのがDさんで、だから結婚という結果に至ったのだと、Mさんは改めて確認するのだった。
Look Up
画像をじっくりと見ていくと、撮られた場所に特徴があるのが分かった。普通の住宅が醸し出す雰囲気とは違う何かが漂っていて、それは特に照明に特徴があった。その特定が不可能なように、背景にモザイクがかけられていたりして、まったく修正されていないゆりなの姿とのギャップに違和感を感じたが、その意図はMさんにも理解できた。そしてその場所に思い至ったところで、やはりその手間は必要だと確信した。
撮影現場はどうやらスポーツクラブらしいのだ。それ以外の場所もないわけではなかったが、ほとんどが夜のスポーツクラブに間違いなかった。決定的だったのは、プールを全裸で泳ぐゆりなの姿だった。見慣れたプールをMさんが見間違うわけはない。どこでもプールなら同じ様なモノに見えても、やはり毎日みていると他とは違う特徴を、自然と頭に刻みつけてしまっているモノなのだ。
そこから導き出せる結論は、撮影者はあの宴の中のメンバーの誰か、あるいは皆が何らかの形で関わっているに違いない。当然、ゆりなだけが画像に写っているわけではなく、セックスを写したところには男の姿もある。その顔にモザイクは掛かっているが、言われてみればFやIの面影をMさんは見て取った。慌ててMさんは最近の、特に自分が関わりだしてからの画像を丁寧に見ていった。
幸い自分が写っている場面はなかった。ただ記憶の中にゆりなの痴態をデジカメで撮影しているシーンは残っていて、その時のものらしい画像はあった。明らかに夜の宴と、この掲示板は繋がっていた。クラブでの売春行為もそうだが、相変わらずゆりなはその中でも嬉々として愉しんでいた。積極的にすら見える晒し行為に、ゆりなは笑顔を浮かべていた。かなりハードなプレイでも、気持ちよさそうによがって見せた姿を、掲示板はありのまま配信していたのだ。
Nothing Left
掲示板をMさんに見せたゆりなの意図は、少なくとも自分の猥らな姿を今後もMさんには見ていて欲しい、というものだった。メールや電話だけでは飽き足らず、淫猥な欲望でもちゃんと繋がりあっていたいのだ。そしてそれは、一方通行ではなくきっと、双方向でありたいと願っているに違いない。その気持ちはMさんにも理解できるが、果たして自分の方から発信できるかどうかは、さすがに確約は出来なかった。
きっとゆりなは、Mさんもその掲示板に投稿して共有することを、拒否するとは思っていないと、Mさんは察した。だがそこまで押しつけることが出来ないのは、ゆりな自身にも分かっていた。だから、ちゃんとここを覗くようにしておくわ、とMさんがブラウザのお気に入りに登録したのをみて、ゆりなはそれ以上何も言わなかった。今後はそこに自分の痴態を晒すことが、Mさんとの繋がりも確保するという新たな意義が生まれてゆりなはひとまずホッとしたのだった。
そしてそれは、引き続きあの男達と金銭を介した繋がりをずっと続けていくことも示唆していた。それは倫理的な部分でMさんには意見があったが、結局そこ目をつぶるほかなかった。ゆりなに引きずられる形でも、Mさんも一度はその船に乗ってしまったのだ。転覆する前に逃げ出した、というと大げさだが、そう長続きして欲しくないとMさんは思っていた。いずれにしろ、もうMさんが睨みを効かすことも無くなってしまうのだ。
出来ればこれ以上の深みにはまらないうちに、ゆりなの転勤願いが受理されれば良いと願うばかりだった。いずれにしろ、春が近づくにつれ、ひとまずMさんは帰郷という形で、また新たな生活が始まる準備を徐々に整えていった。幸い地元ではDさんが受け入れる全てをまかなってくれるおかげで、Mさんは出て行くことだけを考えれば良かった。そこで最後に、もう一区切り着けられれば、もう後は帰るだけで良かったのだった。
No Time to Live
半同棲まで及んだOとの関係は、ゆりなと入れ替わるようにして萎んでしまっていた。まったく逢わないことはなかったが、それよりもゆりなの方がMさんを掴んで離さなかったのだ。一方的にOから誘いの連絡は頻繁に入っていたが、Mさんの方はそれどころではなかった。部屋で一晩過ごすというようなことはなくなり、数週間に一度ラブホテルで会うのが関の山であった。
マンネリが支配していたところに、上手い具合にゆりながそこに取って代わってという側面もあって、Oにもいくらか執着が薄れていたのもあった。それでもいざ会う機会が少なくなると、急に焦燥感に駆られてしまうのだった。Mさんも、数少ないアヌスを解放した相手だっただけに、無碍に突き放すことも出来なかった。最もそれが、Dさんをたきつけてダメ押しをする結果になったのだが。
帰郷に関してゆりなのことが一段落つくと、MさんはOに一応、最後の区切りを付けようと連絡を取った。もうその頃にはほとんど、Oの方も諦め気分が支配していて、他への目移りを始めていた時だった。それでも、帰郷はもとより、プロポーズされたことを告げると、意外なほど狼狽した表情を見せた。互いの関係に一線を設けていたはずなのに、Oの見せた戸惑いの表情を、Mさんは驚きの目で見つめた。
考えてみれば、所詮割り切った関係、といっても男の側にそれだけでは納めきれない独占欲のようなものが存在していて、我が儘を捨てきれないのは致し方ないのかもしれない。Dさんにしたって、同じことで、OとDさんを隔てているのは、ただ、結婚しているか独身か、だけの違いなのだろう。独占できているウチは余裕でいられるが、いざそれが叶わないとなると途端に焦り出すことを、Mさんはその時目の当たりにしたのだった。
Guess I'll Go Away
惜しむ気持ちが沸き起こったOは、だが取り乱すことなく、落ち着いて対応した。今後のことを訪ねたのは、おそらくはそれでも関係を続ける糸口を見つけるためだったのだが、Mさんは直ぐにはその答えを出せなかった。Mさんの方にOを惜しむ気持ちがないわけではなかったが、彼ほどの執着はなく、どちらかというとゆりなに逢う前のマンネリしたよどんだ空気を厭う印象が強く残っていた。
先のことは分からないけど、と前置きして、一応コレでお別れにしましょう、とMさんの方から申し出るのを、Oはすんなりと受け入れた。それは意外なほどにあっさりと済んでしまい、Mさんの方が唖然とした。ただ、最後に旅行に行かないか、とOの方から誘った。さよならの一言ではすまないだろうと予想していたMさんは、それを素直に受け入れた。無碍に断るほどドライにもなれなかったのだ。
思えば、彼氏の友人として紹介されてから、ずっと絶えず関係を続けてきて、オマケに転勤に着いていくような格好で継続を望んだのだから、いわば結婚前の最後の彼氏、と言えなくもなかった。転勤して直ぐの頃には、Oとの関係で満たされた時間もあったのだから、いきなりスッパリと関係を切ってしまうことはMさんにも出来なかったのだ。だが、二人きりというのは多少危険な香りがした。
そこで、MさんはKも一緒に、と申し出た。転勤してからいくらか疎遠になっていたが、Kとの関係も長い。これからKの住む場所に帰ることになり、どちらかというとOとの関係よりは親密になりそうな予感もしたが、それはMさんの方でやはり一区切り着けたいと望んでいた。Dさんとの結婚を前向きに受け入れた時に、彼を介さない付き合いにはもう縁を残さないようにしようと決断したのだ。それが、いくらか奇妙な二人の関係の中の、貞淑というMさんなりの心構えだったのだ。
Funky Music
転勤の話が持ち上がり、そこにMさんが追いかけるような格好で同じ場所に住むことになった時から、K自身はあまりそのことを快く思っていなかった。それはOに置いてけぼりを食らうといった感情ではなく、どちらかというとその逆を心配したからだった。案の定、OがMさんの部屋に転がり込むような格好で半同棲のような生活になったと聞いた時、羨むよりも先にKはOを窘めた。
KもOも家庭がある身で、それでもセックスのみで繋がった関係には共感し合っていた。Mさんだけではないが、結婚してからも他に目移りするのは仕方がないことだと割り切っていたのだ。だから、それ以上踏み越えてしまう危うさに、Kは勘付いていた。実際に繋がったことのあるKだからこそ、Mさんにのめり込む理由は分からないではなかったが、それだけに一方の家庭を壊すような事態にはなりはしないかと、冷静に彼らを見ていたのだ。
そこにゆりなが現れ、OとMさんがその関係を希薄にしていったことで、Kは最悪の危機は回避できたと喜んでいた。地元を離れてからも時々OとKは顔を合わせていたが、最初の内、Mさんと疎遠になってきたことにいくらか憔悴するOの顔を見た時には、まだ安心できなかったが、それも時間が経つにつれて解れてきた。そろそろ自分達も若いとは言っていられない時期に来ている時に、未来を見据えた好転だとKは思っていた。
Mさんの結婚を機に、関係を解消する、という決断は、いわば納まるところに納まった当然の結論だったのだが、Kはこれで統べたが終わると、安堵したのだった。その話と一緒に、最後に三人で旅行する、という申し出がなされたのだが、Kは二つ返事で受けた。元々危うい遊びだったのだ、という感慨が、一抹の寂しさはあっても、ようやくまっとうな道に戻る安心に勝って、彼らの申し出に不満はなかったのだった。